倫理より広い意味での利害を考えよう
昔から俺が良く分からない日本の風習が安易な「引責辞任」って奴だ。今は株式、それも村上ファンドで儲けていた福井日銀総裁やジーコジャパン惨敗(W杯に限って)の責任者とも言うべきJFAの川渕キャプテンの辞任が叫ばれているが、正直俺はどーでもいいと思っている。というかそのためだけで辞めるべきでは全くない。
それはその引責辞任の主たる根拠が大衆の嫉妬なり、やっかみ&清貧の思想から来てるからだ。「オマエだけ儲けてずるーい」「エラい人ほと無欲であるべき」という。アホか! 仕事できる人ほど強欲なんだよ!!
だってさ。別に法を犯してないわけでしょ。福井総裁がインサイダー取引をしたわけでもなく(してたならま、問題かな)、川渕チェアマンがジーコから賄賂を貰ったわけでもない。彼らは彼らなりに立派に仕事をしてきただけだ。というか彼らが辞任すべきか、すべきでないかを決めるのは、基本的にはマイナス面ではなく、とことんプラス面で決めるべきだ。優秀な仕事をしている人たちを辞めさせるのは、長い目では俺たちがソンをする。才能はそうそう簡単に見つかるものじゃないんだよ。どこの世界も。
経済の専門家が自ら株を取り引きするのがなんでおかしいんだろうか。サッカー協会のボスが選んだ監督が失敗してなにがおかしいんであろうか。確かにジーコはもうちょっと早く辞めさせるべきだったと思うが、あれだけ鹿島アントラーズを常勝集団に導いたリーダーに期待するのがそんなにおかしいだろうか。というかそもそもスポーツというのは、それくらいのギャンブル性があるものだ。経済とは全く違う。しょせんは娯楽。ホーム&アウェイ、開く会場で結果が恐ろしく変わってきてしまうものなのだ。
というか福井総裁が株でソンしてなくてよかったじゃない。それなりに見る目があるってことなんだから。
確かに世界的にはサッカーが戦争を招いたとか、サッカーで議会が停止するとか、サッカーでミスをした選手が殺されるなどの不幸な出来事がある。だが、それはそんなに立派なことだろうか。日本人までそれをまねすることなどないのじゃないだろうか。
というかミスをしたならば、可能な限りその責任をとってもらおうじゃないか。それはその仕事を放棄するのではなく、その仕事をまっとうすることだ。人間、誰にでもミスはある。それも致命的ミスってほどじゃない。そもそも完璧な人間なんてどこにもいないなんてことは、誰でも知ってるのだ。
だったら、厳しく注意してから、もう一回チャンスを与えよう。それだけのことだと思うんだけど。
というかね。ロナウドだってシェフチェンコだって、ミスをする。かなり決定的なミスをする。だけどそれ以上に凄いゴールを決める。「なぜ日本に優秀なフォワードが生まれないか」という問いに対して、「海外じゃ前向きなミスは責めない」って話がある。それに比べて日本は「ミスしたらむやみやたらと責める」という。そう、そもそも日本だったらロナウドはW杯に3回も出れなかったかもしれないし、その存在自体が“出るクイ”で消されていたかもしれないのだ。
日本はいつからこんなに清廉潔白な国になったんであろうか。
アナタは彼氏、彼女の浮気を一回でも認められない人ですか?