8年前と何が変わったのだろうか
事務所を掃除してたら、昔の雑誌が出てきた。ホントは捨てなきゃいけないんだけど、つい読み込んでしまった。8年前のW杯の記事。思い出した。そういえば当時も「勝てる試合を落としてた」って言われてたよなぁ。今と全然変わってない。
ま、変わってないってのはウソだ。逆に当時は凄かった。だって中山、足の指かなんかを骨折しながらプレーしてたんだから。カズも分かりやすく、気合の人だった。果たして今年、そこまで気迫があったかっていうと…
だからある意味、当時、カズを外したのはつくづく残念だった。技術以前に精神力のみで闘う試合を見てみたかった。カズとゴンのツートップ。ヘタなんだけどさ。トラップとか笑っちゃうほどデカかったりして(笑)
一応、当時とそこは逆転している。あの頃、気合は入っていたが、露骨に技術が足りなかった。今年、技術はある程度あったような気がするけど、気迫が感じられなかった。両方あればいいんだけど…。
でもね。きっとそうやって1+1=2で、成長していくようなもんじゃないんだよな。こういうのって。
そもそも今年はもっと別のものを見てる感じがした。そう、前にも書いたけど、国民全体っていうか、マスコミ全体の妙な浮かれ具合。シリアスさは、昔のほうがあった。昔は昔で、「1勝1敗1引き分けを予想してどうする!」って冷静さを疑う意見もあったけど、なによりも選手に今、中山とかカズのように熱い選手がどこを見渡してもいない。今回、中田は確かに熱かったし、凄かったけど、それを回りに伝染させるタイプじゃない。というか元々そういう準備を好まない人だった。
そう、今ならさしずめトゥーリオか。でも、彼は確かブラジルかなんかで育ったわけでしょ。結局、日本ってどんどん熱い奴らが生まれないような世の中になっている気がする。つまり今後、選手がどんどん上手くなって、監督も見極めが厳しくなっていっても、根本的な“闘う力”、特にココロで闘う力が足りないような気がする。だって、最近、サワヤカなケンカってみないもん。ドラマを見ても、臭いぐらいにサワヤカな闘いって見ない。どんどん陰湿になり、結果、一部、教育の現場ではケンカそのものが禁止されている。
ホントは、ボクシングとか小学生に教えてもいいような気がするけどね。難しいかな。ま、亀田兄弟みたいなのがフットボールやり始めれば、もっとわかりやすく期待できるんだけど。ああいう、アナクロニズムってこの業界には少ないでしょ。なんか、オシャレすぎるんだよなぁ。つくづく、W杯は国民性、国情を反映するものだと思った。
それと同時にね。俺自身がかわってきていることに気づいた。8年前、俺はもっと駆け出しのライターで、もっと自信がない代わりに、夢はあった。そこが今の気分に反映されているような気もする。あの頃あの時は二度と戻ってこない。あの時、足りないと思ったものは、取り戻せないのだ。