子供とモトクロス
腕をひねると前に行く。だけど自転車と違って全然重いんだ。ちょっと間違えると倒れちゃう。腰を入れるっていったいなんだ? あ〜メンドクサイぜ。でもね。ときどきスルスル前に行く、怖いくらいにすーっと進む感覚はちょっと快感。きっとこの先倒れることがあるだろう。前から情けなく倒れ、手をついたり、すりむいたりするかもしれない。でも、それこそがバイクなんだ。
暑い最中になぜ暑いカッコをして、わざわざ熱を出す鉄の馬に乗るのか。でもそれこそが文明みたいなものなんだ。面倒と、朝起きと、快感と、痛いのと、風と、エンジン音と、排気ガスの匂い。そういうものを身体で感じて、自分でどう進むのか判断して欲しい。きっとどこの両親もそう思っているはずだ。
人生は、決して楽なモノではないし、でもどこかに楽しさがある。そしてそれは誰かに導かれたり、自分で探しに行って見つけにいくものだ。
モータースポーツは楽しいだけのものではない。道具を使い、誰かの協力を得て、自分でなにかを探し行く。そういうものでもある。怖いだけで、種目を判断してはいけない。勇気を持って、新しいことをやろう。きっとその先に未来が待っている。